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青年海外協力隊の平成22年度第4次隊員として、2011年3月から2013年3月までアフリカのガーナに派遣されています。ガーナの真ん中ら辺にあるのどかな田舎の高校で、コンピュータの授業を担当しています。


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2011年 03月 13日 ( 1 )

被災②

朝目覚めても、事態は何一つ好転していませんでした。
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電気もガスも相変わらずストップしたままでした。


そして、相変わらず連絡のつかない隊員が5名いました。

不安は募るばかりでした。


新聞を開けば、郡山で潰れたビルの写真が目に飛び込んできました。
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私たちも一歩間違えばそんな被害にも遭っていた可能性があったと思うと、

怖くて仕方がありませんでした。


朝ご飯として非常食や個人が所有していたお菓子を持ち寄ったものの、

私たちはわずかな空腹しか満たすことしかできませんでした。
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その後、ふもとの温泉街まで復興のお手伝いに行こうという話も出たのですが、

なるべく動かない方がいいということで、自重することにしました。


しばらくするとスタッフの方から、訓練所でバスをチャーターすれば、

埼玉県の大宮までは帰れるという提案が出されました。


ただしバスの乗員には限りがあり、一度で運べるのは20人が限界。

現在80人程度が残っているということで、少なくとも4便は必要ということになりました。


また、大宮に着いたとしても、そこから先の交通事情は明らかではありませんでした。

すなわち大宮から先は自己責任で移動する必要があるとのことでした。

最悪の場合、大宮で立ち往生してしまう可能性もあるということでした。


そこで、バスを待つ間、我々はホワイトボードをエントランスに並べ、

関東方面で動いている路線や道路状況についてなど、

そこに出来るだけ多くの情報をシェアできるようにしました。
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語学の講師とも再会することができました。

震災時、彼は家に居たそうです。

彼にとっても、過去に経験したことが無い出来事だったそうです。



特に進展がないまま、お昼の時間になりました。

これが全員揃っての最後の食事になるかもしれないということで、

食堂に残っていた食料をかき集め、炊き出しを頂くことになりました。


おにぎりと、味噌汁。

たったこれだけでも、昨晩から非常食とお菓子しか口にしていない我々には

本当に温かすぎる施しでした。


ここで我々は今後の運命を左右する選択を迫られました。

選択肢はふたつ。


今日、一刻も早く帰るために、大宮行きのバスに乗るか。

明日、交通機関が回復していることを祈り、もう一泊するか。


私は後者を選択しました。


昼に出たとしても、大宮に着くのは夜か、下手すればそれ以降になってしまいます。

そうなると、大宮で立ち往生する可能性があるということになります。


そういった最悪の状況に陥ってしまっては、

二次被害を引き起こすことにもなりかねないということで、

まずはここに残って様子を見る決断をしたのです。



昼過ぎに、福島空港から臨時の飛行機が飛んでいるという情報が入ってきました。

行き先は兵庫県の伊丹空港ということで、

そちらに飛んだ方が都合のいい隊員は、このルートを選択しました。


すぐにタクシーを呼び、ここで7名と別れました。
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修了式のときは「また会おうね」と笑い合っていたみんなとも、

もう二度とここには戻って来ないことを誓って、抱き合って別れました。


その後、バスが2台到着しました。

九州・四国・中国地方など、比較的遠い地域に帰る人から優先的に乗り込みました。
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さらに小一時間ほど経過した後、もう一台のバスが到着しました。
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これで、今日中に大宮に移動する組とは、全て別れることになりました。


この時点で、訓練所には22人が残りました。

うち4人は、福島以北に帰る隊員でした。


食堂のテレビは非常電源により常時点けられていたため、

空き時間はなるべく情報収集に努めました。


また、訓練所の館内を見て回ったりもしました。

慣れ親しんだはずの教室は、見るも無残な光景が広がっていました。
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もっとも被害が甚大だったのが、図書室でした。
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午後5時過ぎ、ようやく電気が復帰しました。


また、最後まで連絡が取れなかった人たちとも、

奇跡的に訓練所で再会を果たすことができました。


彼らは福島に向かう途中の在来線で被災し、福島駅まで十数キロを歩き、

市役所で保護されていたそうです。




午後6時ちょっと前、事態は急変しました。

福島原発が爆発したという情報が飛び込んできました。


避難勧告が出されていたのは原発から半径20km以内ということで、

約50km離れている訓練所は避難しなければならないということはなかったです。


しかし、今後被害がさらに拡大した場合、福島から脱出できない可能性があるため、

できるだけ早いうちにこの場を離れた方がいいということで、

今日一泊するはずだった予定を急遽取りやめ、全員で避難することになりました。


最初は仙台方面、すなわち北に逃げるという話もあったのですが、

最終的には南に逃げることになりました。


ほぼ着の身着のまま訓練所を飛び出し、

バスの車内や個人のバッグに非常食を詰め込めるだけ詰め込んで、

全員がバスに飛び乗りました。


バスの発車間際、我々が訓練所に帰ってきたことを知ったと思われる、

二本松市の方からもたくさんの差し入れを頂きました。



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こうして、私たち25名の絶望的ともいえる長い夜の火ぶたが切って落とされたのです・・・。




つづく。
by ito_akihiro | 2011-03-13 23:59 | 被災